CLAPA(英国口唇口蓋裂支援団体)訪問


参加日時:2018年12月5日

文:對馬朱香(助産師)

口唇口蓋裂の家族を支援するチャリティ団体、CLAPA(Cleft Lips and Palate Association)を訪問してきました。CLAPAは約40年前に口唇口蓋裂をもつ子どもの親と医療者とで立ち上げられた団体です。口唇口蓋裂の本人とその親を、診断された時から子どもが大人になるまでサポートしています。初めはニュースレターなどの冊子を発行することから始めたそうです。


 イギリスでは、妊娠中や生まれてから口唇口蓋裂が診断された場合、24時間以内に口唇口蓋裂のサポートチームに紹介されることになっています。この専門チームはハブとなる病院におり、これらの病院はロンドンには2つ、他にもスコットランドやサウスウェールズなど、イギリス中にあるそうです。専門チームのメンバーは小児科医、小児外科医、小児麻酔医、小児歯科医、矯正歯科医、言語聴覚士、耳鼻咽喉科医、口唇口蓋裂の専門看護師、臨床心理士、遺伝カウンセラーから構成されています。専門的サポート、医療的ケア、精神面、社会面でのサポートや遺伝カウンセリングも行なっています。

 「24時間」がキーワードになっており、診断から24時間以内に地域の口唇口蓋裂専門チームに連絡をすることになっています。その紹介から24時間以内に専門チームがご家族に連絡をとり、CLAPAの存在を伝えます。出生後24時間以内に、口唇口蓋裂の専門看護師が授乳の早期評価とケアプランを立てることも特徴です。

 CLAPAでは出産後、家族からのリクエストがあったときに、ウェルカムパックという、口唇口蓋裂の子のための哺乳瓶と乳首2セットずつと、CLAPAで発行しているニュースレターやリーフレットなどの冊子を無料で送っているそうです。哺乳瓶や乳首については、その子の状態に合わせたものが必要なので、赤ちゃんが生まれた後で、専門看護師に赤ちゃんの状態をみてもらってから、適切なものを選んでからリクエストしてもらうそうです。

また、これらの冊子は、口唇口蓋裂で生まれた子たちの成長の様子などが写真付きで紹介されていたり、CLAPAコミュニティという家族会のようなグループについてや、CLAPAで開催しているイベント情報、調査でわかった情報や医療情報についてが載っています。他の様々な家族の様子を知れたり、つながれるきっかけをもらえることは、家族が孤独を感じることなく、継続した社会的サポートを受けるのにとてもよいことだと思いました。冊子に載っている写真は、家族から送られて来たものを使用しているそうですが、どの家族もニコニコ笑顔で、見ていて私も思わずほころんでしまう、心温まる写真ばかりでした。

 CLAPAコミュニティについてですが、参加するときには年会費を支払う必要はありません。それは、必要な人みんなにアクセスして欲しいから、という理由でした。その代わり、マラソンやスカイダイビングなどのチャリティイベントやパーティなどで少しの参加費を徴収したり、寄付を募ったりするようです。継続可能な運営して行くにあたって資金調達はとても重要ですが、本来の目的、サービスとのバランスを見て、その方法を工夫することは大事だなと感じました。

  また、CLAPAでは承認制のFacebookグループも運営サポートしており、ここには口唇口蓋裂の本人やその家族だけが参加できるようになっています。医療者は参加できないことになっており、それは本人や家族が自由に言いたいことが言えるようなグループにするためだそ うです。多くの人たちの発言は特に問題はありませんが、時におかしな書き込みがないかを、CLAPAのスタッフやトレーニングを受けたボランティアもこのグループに参加して、モニタリングや必要時はファシリテートを行なっているそうです。他にも、ハッピーフェイスグループという、口唇口蓋裂の子どもを持つ両親が、同じような状況にある家族と知り合って、お互いの経験を共有したり、話す機会を得るためのグループもあります。これは、CLAPAによってトレーニングを受けたボランティアによって運営されており、イギリス中の色々な地域にあるそうです。

 オンライン上でもオフライン上でも家族同士がつながれる仕組みがあり、心配や不安の相談や共有だけでなく、子どもたちが笑顔で楽しそうな写真を見ることができたり、自分の子どもが、他の子達と和気あいあいと遊ぶ様子を見れることは、親にとっても幸せで安心できる機会になると思いました。中には、手術の時期が近づいたときに、「この子の笑顔はとても魅力的で可愛い。手術受けさせたくないないな‥。」という方もいたそうです。自分の子どもが、他の人たちから可愛がられ愛される様子を見ることは、親にとってきっと幸せで自信になる瞬間なんだろうなと感じました。


 しかしそんなイギリスでも、口唇口蓋裂は一般的にあまりよく知られてはおらず、医療者でさえも誤った認識でいるひともいるとのことでした。そのために、間違った情報を与えられる家族もいるようで、それは家族にとってとても苦痛で、医療者への信頼を失うような出来事だと思います。CLAPAではそれを避けるために、医療者に向けた短い動画を製作中ということでした。日本でも認知がまだ十分でないことや、言語療法の必要性の認識がまだまだであることなどを考えると、認知も促進できるような媒体の作成や活動を進めていかないとなと思いました。

CLAPAのClaireさん、Annaさん、貴重なお話しをありがとうございました。