ARCで医療者向けのトレーニングに参加

参加日時:2018年10月28日

文:對馬朱香(助産師)

ARC(Antenatal Results and Choices)で行われた、出生前診断に関わる医療者向けのトレーニングに参加しました。

参考:国営NHS病院訪問のレポートはこちら

参考:Fetal Medicine Centre訪問のレポートはこちら

30年近くグリーフケアや出生前診断カウンセリングに関わっているカウンセラーがファシリテーターとなりトレーニングが開催されました。当団体からは理事長の林と、私(助産師)と小児科医が参加しました。

小児科医のレポートはこちら

参加者は助産師や看護師で、出生前検査に関わる病院やクリニックに勤務しており、具体的なサポート経験と豊富な知識を持っていて、その方たちの経験共有などからもたくさんの学びがありました。彼女たちの経験値や知識量にはとても驚かされ、真剣にプロフェッショナルとして学び続け向き合っているのだと、感銘を受けました。

トレーニングでは、胎児異常を伝えられた妊婦さんたちが意思決定するために必要な情報や、意思決定に影響する要因、さらには妊婦さんの気持ちに焦点を当て、どのような態度でカウンセリングにあたるとよいかなど、診断後のカップルの助けになる関わり方について学びました。ロールプレイングをしたり、意思決定後の気持ちの移り変わりについて時期ごとに考えたり、このような経験をしたカップルがその時感じたことを読んだり、妊婦さんとその家族の立場から支援できるようになるトレーニングでした。

特にカップルから語られる言葉は、強く心が揺さぶられ、痛み、涙が出るものでした。日本ではあまり語られることの少ない彼女たちの感情や経験は、妊娠に関わる人たちが、彼女たちに寄り添い続け、気持ちを尊重し続けるために、知っておくべきものであると思いました。このような経験談は、ARCではChoicesという本で、アメリカではEnding a wanted pregnancyというHPサイトで知ることができます。胎児異常を指摘されたカップルたちにとって、この時の思いや感情を表現することはとてもつらく、苦しいものではありますが、同じような経験をした人にとっては、少なからず助けになるのだと信じ、既存の団体と協力して日本版も作成したいと思いました。

また、今回のトレーニングには、イギリス国内からだけでなく、私たちのように国外から参加している方もいました。妊婦さんたちが意思決定する上での重要な要因に、中絶に関する法律があることも、もちろん議論になりました。中絶がサポートされていない国において、カップルたちの意思決定のプロセスにどのように関わることができるか、大切なことを学ぶことができたと思います。

イギリスと日本、または他の国々で、考え方や文化、教育、宗教感などの違いは、もちろんたくさんありますが「妊婦さんやその家族の考えや気持ちを尊重したい」という思いは、ここに来ていた参加者たちは同じなのではないかと感じました。

「いのち」の考え方は、その人自身や、取り巻く状況によって、異なるものだと思います。明確な考えを持っている人も、言語化できなくても思いがある人もいます。これは第3者が決めて押し付けるものではなく、それぞれが持つ価値観が尊重されるべきものだと思います。

妊婦健診で異常を指摘され、困難な選択を強いられている家族が、孤独を感じず、サポートを受けながら意思決定できるように、ARCを参考に活動していきたいと、強く感じた貴重な1日でした。