22q11.2欠失症候群国際学会参加報告

7月20-24日にイタリアで行われた国際会議に参加しました。22ヶ国から200名以上の方が参加しており、日本からは我々のグループのみの参加でした。

文:北村千章(理事)・林伸彦(代表理事)

参加学会:

第10回22q11.2国際会議(7/20-22)

22q.11.2家族会国際会議(7/22-24)


病気の認知度

ダウン症候群についで多い染色体疾患とのことですが、やはり世界的にもまだ認知度は低い疾患のようです。

認知度を上げ、社会的理解を得るための試みが世界中で行われています。

例えば、毎年世界同時に行われる動物園キャンペーンは日本も参加しています。


診断法

日本では、FISH法という、染色体そのものを蛍光色素で標識する方法で診断がなされています。一方海外では2002年より、遺伝子を増幅する手法(MLPA, qPCR)が使用され、より診断率が高くなりました。


診断の意義

診断が早ければ早いほど、本人への支援が早期に開始されるため、早期診断が重要視されていました。具体的には、言語訓練・低カルシウム血症・心疾患への治療・メンタルケアなどを早期から行っているようです。


家族会と医療機関の関係

今回の学会は、家族会の集まりと医療者の集まりとが癒合した形での開催でした。

日常の支援においても、家族会の方が病院内でカウンセリングにあたっていたり、病院が家族会の活動を支援していたり、ともに協力しあって社会へ発信していたり、相互に協力しあって同じ方向に向かっているのが印象的でした。

また、今回の学会で一番に表彰されていたのは、医療者でも研究者でもなく、家族会の活動だったのが印象的でした。


本人への告知の意義

22q11.2欠失症候群の方々は、心・口唇口蓋・腎・免疫など様々な臓器への治療介入が必要な場合が多くあり、本人の病気への理解が不可欠です。また、遺伝性疾患であることから、性教育についても、思春期以前に行う重要性が強調され議論されていました。

本人の理解度にあわせて、その子にわかるように説明する工夫がなされていました。


様々な支援

本人への支援

 病気の告知・説明

 性教育(避妊について、遺伝性疾患への理解など)

 精神疾患への支援・メンタルケア

 言語訓練(口唇口蓋疾患がなくても言語訓練が行われます)

両親への支援

 メンタルケア

 周囲の方々への病気の説明

 22q11.2欠失症候群患者としての支援(遺伝性疾患のため、子どもの病気をきっかけに両親の病気が見つかることがあります)

兄弟への支援・カウンセリング

 病気に関する説明・理解・関わり方についてなど

 同じような状況の兄弟を集めてディスカッションするような場の構築

その他周囲の方への説明

 就学の際に教育機関へ病気の特徴を説明すること

 就労の際に会社や周囲の人々に病気の特徴を説明すること


まとめ

 22q11.2欠失症候群に限らず、小児期にみつかる病気一般について、告知の時期や方法などが課題になっています。さらに、小児期の支援と、成人期の支援(自律支援や就労支援など)へのスムーズな移行も問題になっています。日本でも、心疾患や小児がんの子どもたちに、ようやく成人移行支援がされるようになりました。「子どもたちが大人になることを考えての支援」を小児期から考えることが重要と感じています。

 22q11.2欠失症候群に関して言えば、本人の理解度が子どもによって差があるため、説明のタイミングや方法が難しいことが議論になっていました。しかし同時に、早期説明の重要性・メリットも強調されていました。それは本人だけでなく、家族、周囲の方々が、それぞれがそれぞれらしく、のびのび気持ち良く生活する上で重要になってくるそうです。

 日本には、日本独特の社会構造があるのも事実であり、やはり病気の告知・告白が難しいのも現状です。一般に、病気や障がいに対する社会的理解が乏しく、病気や障がいに係わる家族はそのことを隠す傾向にあるのも否めません。未成年患者への告知に関するサポート体制が未熟なのも否めません。病気を持つ本人や家族自身が病気に向き合えるための環境づくりをすべく、引き続き、活動を続けようと思います。

 まずは日本の家族が抱える課題・悩みを把握するため、各地域にいるご家族の方とつながりたいと考えています。研究費の範囲内であれば、全国伺うことができますので、是非ご連絡いただければ幸いです。既存のサポート団体・遺伝カウンセラーなどへの橋渡しなど、お手伝いできることもあると思います。

22qサポート窓口

・家族サポートメール : fab_famsupport@fab-support.org

謝辞

今回、一緒に参加してくださいました、清泉女学院大学人間学部の室井美雅子教授、ありがとうございました。先生は、教育者として、ご自身の英語力を、私たちの活動に活かしてほしい言ってくださいました。今後もご協力頂けるようなので、心強く感じています。

なお、本学会参加は日本学術振興会挑戦的萌芽研究課15K15859の助成を受けたものです。